8月中に行こうと思っていた。
来週は時間的に余裕がなさそうなので、今日がいいと思い、国立西洋美術館で開かれている「松方コレクション展」に観に行った。
家を出たときは雨が降っていたがそれほど強い雨ではなかったので、気持ちはそがれなかった。
JR上野駅公園口を出るとあいかわらず人が多く、しかもこども連れが多いのでやや後悔した。でも今日行かないと9月に入ってからになってしまう。夏休みが終わればこどもの姿は亡くなるがそれまで待っていられない。
国立西洋美術館ではチケットを買うまで15分待ち。中高校生の姿も多い。小学生は無料で入れる。こどもたちに特に観てほしいという博物館側の配慮か。
館内は思ったより混み合わず、それほどストレスを感じず鑑賞することができた。
戦前の川崎造船所の代表取締役となった松方幸次郎の資金力をものを言わせて集めた膨大な絵画、彫刻などのコレクションは、散逸したもの、売却したものも多い。
よくわからないところがあるのだが、集めたコレクションの一部は日本に持ち込まれたが売却したものがほとんどで、海外に残されたものはナチスドイツから守るためフランスの片田舎に避難させたそうだがその後どういう日の目を見ることになったのか。もう少し勉強する必要がありそうだ。
松方コレクションの転変を象徴する作品として、モネの水連があり、モネ本人から買い取ったものらしいが、第二次世界大戦中に他の作品といっしょにフランスの片田舎の家に運ばれ、その保管方法が良くなかったためか、劣化がひどく、さらにその作品自体の消息がわからなくなり、発見されたときは四分の三がほぼ消滅していたようだ。野のされた部分の修復を終えた作品が展示会場の最後に展示されていた。
第一次世界大戦をテーマにした絵画もあり、コレクションの内容はその時代のヨーロッパの絵画の潮流を表している。戦争を描いた絵画にはそれほど興味がないのであまり印象に残っていないが。
ムンクの絵も4点あり、「雪の中の労働者」という、らしくない絵が目を引いた。他3点は倉敷にある大原美術館の所蔵作品で、「アウグスト・ストリンドベリの肖像」がいい。
モネの作品はわたしが知っている画家の中でいちばん展示作品が多い。初期の(1860年代)、まだモネらしさが出ていない作品と「芍薬の花園」、「積みわら」がよかった。特に「積みわら」はモネの亡くなった奥さんとこどもが積みわらに寄りかかかっている光景が描かれ,積みわらだけを描いた絵は何点か見ているが、この絵には特に温かみを感じた。
フィンセント・ファン・ゴッホの「アルルの寝室」とポール・ゴーガンの「扇のある
静物」と特に好きな作品。「アルルの寝室」の絵は3枚あるということを初めて知った。他の1枚を他の展示会で見たことがある。ゴーガンの「扇のある静物」はかたちと色彩の調和がすばらしい。果物の描き方が独特でいい。多分、林檎と檸檬だと思うが。
ゴーガンが描く静物画には調和がありつつ、不均衡なところがあって、引きつけられる。予定調和でないところがいいのかも。
会場では中学生と見られる子たちがいっしょうけんめい紙に何か書いている姿もあり(会場では鉛筆以外で書くことは禁止されている)、夏休みの宿題と関係があるのかなと思った。