昨日はジャコメッティ展へ、今日は歯医者さんへ

 昨日は家で昼食を食べるまででかけるつもりはなかった。食後、老犬ももこが息を引き取った時間が近づくと急に家にいることが辛くなり、炎天下のなかでかけた。家にいてあれこれ悶々とするより外にいた方がいいと思った。
 出かけて正解だった。地下鉄六本木駅から地下道を歩いて新国立美術館にたどりつくと、展示会はあまり混んでいなくほっとした。切符を買うのもスムーズ、会場内もゆとりがあり自分のペースで好きなだけ鑑賞できた。ジャコメッティの創作姿勢に感銘を受けた。モデルをスケッチする場合の徹底的なこだわり。モデルになる人には過酷だが・・・・・。スケッチ画はモデルの目のまわりにたくさんの線描が集中している。まなざしをとらえるためだ。死者との違いは生きている人にはその人だけのまなざしがあること。静止しているモデルを描くときもまなざしはそれほどとらえがたいものだろうか。たぶん人のまなざしは静止ている時も動いているのかもしれない。いや、ひとつの線ではとらえがたいのかもしれない。
 ジャコメッティの彫刻はさまざまな試み、変化をしながら、わたしたちがジャコメッティの彫刻として記憶しているものにたどりついた。数センチほどの塑像ばかりを作り続けた数年があり、その小ささに驚いた。マッチ箱に入る大きさだ。数センチの大きさだがジャコメッティの作品の特徴をほとんどすべて持っているのもおもしろい。
 彫刻の群像もおもしろい。パリの街でのスケッチをもとに作ったすれ違う三人の男の塑像もよかった。すれ違う瞬間をかたちにしている。
 やはり、あまり人が多いと鑑賞しようとするだけでエネルギーを使ってしまう。ゆったりと見れるほうがだんぜんいいとあらためて思った。

今日は午前中は雨が降りそうな空模様で、お昼前から降り始めた。ちょうどわたしがでかけた時間がいちばん強く降っていたようだ。家を出る時は小雨だったが少したつと土砂降りの雨に。靴の中に雨が入り、気持ち悪くてしかたない。予約した歯科医院に着いてから、タオルを借りてぐしゃぐしゃの足を拭かせてもらった。
 歯医者さんは三か月に一回の定期健診と歯石取り。30分くらいで終わった。帰りは少し小降りになっていたが足元が濡れるのは同じ。
 最寄りの駅真にある病院に入院している叔父の奥さんを見舞った。従妹が病院に来ていて、母親のリハビリを見守っていたのでしばらく話した。疲れるといけないので早めにおいとまし、買い物をして帰途についた。
 家に着いて濡れたものを乾いたものに着替える。身体が雨に濡れていないというだけでこんなに気持ちよくくつろげるものかと思った。

 

昨日の早朝の空を見て詠んだ

 朝空をゆく飛行機のパイロットに見ゆる雲の美しさ思へリ

 はけ雲の朝空つらぬき東(ひんがし)の空へなほゆく飛行機雲

 神の手に配置されたる朝空を真一文字の飛行機雲



ジャコメッティのコレクションで随一のマーグ財団美術館の庭に置かれているブロンズ像
もともとはアメリカのある銀行の依頼で野外に置く彫像として制作がスタートしたものだが実現しなかった
野外の自然光をあび風を感じて立っている彫像が人工の暗い光の暗い展示室に置かれていて、緊張しているように見えた
 
 


写真に映っている東京ミッドタウンのビルの下の地下道を通って六本木駅まで行った