種から育てた小苗を植えた

 朝から快晴の気持ちのいい天気。午後になり雲が多くなり小雨でもぱらつくかと思ったがそんなことはなく夕方になった。
 疲れはだいぶとれたと思うがあまり動く気にならない。
 炬燵に入り、図書館から借りてきた森岡貞香歌集を読んだりした。大正5年生まれで平成21年に他界された。母が大正4年生まれなので1歳違いだがふたりとも同じ92歳で亡くなった。父や母に年齢が近い歌人になぜか気持ちが魅かれるところがある。あの大変な時代を生き抜いた人という思いだろうか。
 歌に使われる言葉がむずかしく辞書なしには読めない。例えば窓という漢字も旧字を使っていて最初は馴染めなかったが歌集をひとつ読み終える頃にはなれてきた。とはいっても古典や明治の文語体の文章に使われたような言いまわしは辞書片手に読み解いている。
 午後になり少しだけ庭に出た。45リットルのゴミ袋に入れた落葉を天地返しした。袋は6つある。袋ごとに落ち葉の状態が少しづつ違う。水分が多いもの、ほどよく湿って発酵が進んでいるもの。かきまぜて湿り気を平均化し空気を混ぜ込んで発酵を促すのである。
 あと昨年秋に種を蒔いて育ててそのままにしていた小苗を花壇の空いているところに植えた。これから植えてもそんなに花がたくさんは咲かないが、種から育ってきたので捨てるのは忍びない。


 南風ひと吹きで梅の花びらが声をかけあい散り急ぎたり

 誰かの手でまかれたやうに吹かれくる梅の花びらわが立つところ

 時の流るるを気づかせむとときどき白梅の花弁舞いおりるなり

 飛び移る枝をさがせる目白のからだをのばす様の愛らし

 梅の花咲く庭を仰ぎつつふと庭道を見やれば在りしの犬見ゆ

 四つ足で歩くものいない春の庭見上げれば梅の花は満開なり

 椿も梅も昨年より花多く咲けるにわが犬の姿なき

 彼岸のころ家を訪ねこし叔母のため乙女椿を切りてあげし

 乙女椿咲けば叔母の姿を庭に探したき思ひしのびよりぬ