朝の冷え込みは強く、庭に置いてあったバケツの水に薄氷が張っていた。日中は陽射しはあたたかいが風は冷たい。
お昼前に近くの菩提寺にお墓参りに行った。明日は母の月命日、一日早いが行こうと思った。三月に入ってからお墓参りに行っていないような気がしたからだ。だが墓前に供えた花が元気なのに驚いた。まるで数日おきに水を替えていたように見えたが、水は花入れの底に少ししかなかった。
持って行ったピンク色のストックと、庭の梅と沈丁花に、まだ元気なチューリップとスイートピーなどを合わせて、洗って水をたっぷりと入れた花入れにお供えした。入りきれない梅の枝は、五重の塔の前に設けられた花入れにお供えした。
いつものように柴犬レオの写真を墓前に立てかけて、レオもいっしょに来たよと話しかけた。
お寺に行く途中で、近所の床屋さんが店先で鷺草の植え替えをしているのを見かけ、少し立ち話をした。毎年、この床屋さんの作業を見て、植え替えの季節が来たことを知った。家に帰ったら。わが家の鷺草も植え替えないと、と思いながらお寺に行ったのである。
お昼ごはんを食べた後、昨年の残りの植え替え用の水苔がどれほどあるか確認すると量が少ないので、車で早速買いに行った。帰ってきて、凍らないところに置いていた鷺草の平たい大きな鉢をひっくり返し、小さな球根を丹念に拾った。用土の粒と同じくらい大きさで紛らわしいが、小さな芽が出ているものが多く、それで見つけられる。
平たい鉢の底穴に虫の侵入防止にネットを敷き、中玉の赤玉土を薄く敷き、その上に水で戻した水苔をふわっと置いた。その水苔に小さな球根をさすように置いていく。大きな鉢なのでどこに球根を置いたかわからなくなり、まばらなところと密なところがあり、芽が出たらどんなふうになるか自信がない。
昨年はレオがいるときに鷺草の球根の植え付けをして、7〜8月に見事な花を咲かせたがレオはいなかった。一昨年、レオがいるときはなぜか鷺草は葉だけが伸び、一つも花を咲かせなかった。今年の鷺草はどうだろう。今日の天気と打って変わって、暑くてたまらない真夏に咲く花だ。レオがいない二度目の夏をどんな気持ちで迎えるのだろう。