ひさびさの秋晴れの空

 昨夜はほぼ一睡もしなかった。

 日曜の夜をイタリアレストランで会食をし、その時感じたさまざまなことがわたしを眠らせなかった。

 朝を迎え、眠らぬまま起きて、着替えて早朝の町を散歩した。いつも行く多摩川台公園の方へ。朝の空はきれいで眠っていなくてもすがすがしさに包まれた。

 わが家の近くを流れ、公園の方まで流れている川に軽鴨ルパンが泳いでいた。わたしと反対の方向、上流に向かって。泳ぎ方を見ると今日のルパンは快調のようだ。元気なルパンを見ると元気をもらえるので、早朝の出会いがうれしかった!

 公園にはそれほど人影はなく、マスクを手に持ったまま散歩した。多摩川にかかる大きな青色の橋が見下ろせるところで立ち止まり、しばらく眺望を楽しんだ。

 青色の橋の手前には東急線が渡る橋、奥側には新幹線が走る橋がある。朝の光に明るく光る電車を眺めた。

 橋から目を転じると川の向こうに冠雪した富士山が見える。今日が初冠雪のようだ。秋が少しづつ深まることが富士山の白い頂に実感できた。

 こころのなかのもやもやはそのままだが、朝の散歩をすることで元気になれたような気がする。

 午前中、昨夜の会食をともにした知人のひとりにラインを送る。

 もうひとりの別の知人からはラインが届いた。ラインのやりとりをし、ラインをくれた知人とは少し電話で話した。

 こんなちょっとしたやりとりでこころのわだかまりがやや軽くなった。

 やや軽くなったこころを携えて、予約した短歌集を三冊図書館に取りに行った。

 この9月に亡くなった石川不二子さんの歌集だ。日曜日の朝日新聞短歌欄に選ばれていた一首で、石川さんの逝去を知ったからだ。

 帰りは桜坂を上って遠回りして帰った。桜坂を車で上るのは昨年の秋以来だ。やっと、昨年の水害が起こる前の生活パターンに戻ることができた。間にコロナウィルスの感染拡大をはさみ長い道のりだった。

 昨夜眠れなかったストレスを最終的に解消してくれたのは、涙を流して泣くことだった。自分でもはっきりとした理由はわからずに涙が出てきて大泣きをした後、こころが静かな凪いだ海のようになった。

 

 やや軽くなりたる心携へて車に乗りて図書館に行く

 

悲しきほどの秋晴れの空わがうつしみ読みたい歌集求めてさまよふ

 

道すがらの川に出会いし顔見知りの軽鴨元気でわれを励ます

 

 

 

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行合の雲が流れる秋の空

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