歯科医院にクリーニングに行く

 お昼前に近くのお寺に墓参りに行く。一度行くと毎日のようにお墓に通うのは供えた花が気になるから。この暑さでは水を替えないとすぐ傷んでしまう。
 昼食を食べのんびりした後、予約した歯科医院に行った。
 この医院は老犬ももこがこの家にいたときから通い始めた。最寄駅の改札を出て少し歩き、線路を横切り、また少し歩いて信号を渡るとゆるやかな坂道がある。坂道を上ったところに歯科医院がある。この道を歩くとももこがいた頃をいつも思い出す。ももこがいた頃、週に一回通った時期もあったから、からだに道のすべてがしみついている。
 歯のクリーニングを終え、こんどは坂道を下りながら家にももこが待っているような気になった。いつもそうなのだ。早く帰ろうという気持ちが湧いてくる。でも少しだけ買い物をさせて。まるでももこが家にいるかのように話しかける。
 ももこがいるときも歯科医院を出た後いつも買い物を少しした。今日も二か所ほど寄って家路についた。


 踏切の赤信号が鳴り続け待たさるる人らの時断ち切らる

 少女ひとり手をふる友に向かひ坂道くだる残暑の空