夕方の短い間、雪が舞う

 朝は陽射しが出て風もなくそんなに寒さも感じなかった。ところが布団を干し始めてそんなにたたないうちに雲が出た。午後もそのまま曇りで夕方近くになり、雨から霙、雪へと変わったが雪が降ったのはほんの短い間だった。
 雨が降り始めた頃、車に乗り、いつもいく図書館まで走らせた。雨は降ったり止んだりだが霙交じりになってきた。車を降りて借りていた本を返し、何冊かの本を借りた。若山牧水の歌集は継続して借り、「鑑賞 日本の名歌」というアンソロジーを一冊借りた。
 図書館を後にして最近よく行く店に行く途中で雪に変わった。あらあら、積もることはないと思うが早く買い物をすませて帰りたいと気があせる。店に付いたころが雪のピークで買い物をすませて帰る頃は雪がやんでいた。気をもませる雪だった。
 予報によるとあと3時間くらいは不安定な天候が続き、とつぜん雪が降る可能性があるとのこと。
 5時過ぎ、雨戸を閉めるために掃き出し窓を開け庭を眺めていると白い粒がひとつふたつ落ちてきた。雪とも霙とも風花ともいえない何か。

鈍色の空から円を描き雪来て本降りと思ふまもなく雨になる

用水路の岸に黄ばむ笹の繁るを車から瞬時見て過ぐ

年度末の工事なるやあちこちで車止められいら立ちつのる

愛犬の遺骨に向かひ香をたき寒き一日をしめくくりけり

わが犬の遺影に紅梅手向けたり花に重なるとまどへる顔

紅梅のひと枝犬に手向ければその目に静かな波の立ちおる

氷のつぶが大空より下りきてわが目のなかに消へる黄昏