盆の入り

 朝は空が少し明るくなったような気がしたがその後は雲が厚く垂れこめ、時折雨がぱらつくようになった。
 午前中、近所の奥さん(柴犬レオが縁で知り合った)が家を訪れて、お手製の稲荷寿司をくださった。調理師免許を持っている方で、ときどきお惣菜をいただくがどれもとてもいい味付けである。五穀米のすし飯を使った稲荷寿司でお昼ごはんに美味しくいただいた。
 午後は駅前の花屋さんにお墓参りの花を電話で注文し、車でスーパーマーケットに買い物に行ったついでに受け取った。母は華やかな色の花が好きだったので、あまり仏花らしい花束にしないように頼んだが白と紫、薄緑のトルコキキョウを中心に、ピンク色の花を散りばめ素敵な花束に仕上がっていた。
 母の好物の枝豆などを買い、家に帰り、すぐ墓参に出かけようとすると電話が・・・・・・。
 6月末に老犬ももこのことで電話相談を申し込んでいた須崎動物病院からで、事務局の人がメールを見てくれたかと言ったので、まだ見ていないと答えると、電話相談の日時の変更についての電話であることがわかった。今週の金曜夜9時半からの予定だったが、急きょ今夜9時半はどうかとのこと。早まる分にはいいと思ったが獣医師は名古屋にいて携帯に電話をすることがわかり、ことわった。携帯電話だと時間が気になって思う存分相談ができない感じがしたからだ。
 すると固定電話を希望するなら18日〈月曜〉の夜10時半になるとのこと。これを聞いてわたしは怒りを感じ、その気持ちを相手にぶつけた。悔し涙が出て、言葉に詰まったが言いたいことを言わせてもらった。
 言いたいだけ言った後、結局18日の10時半に変更することを承諾したのであるがなんか胸にもやもやが残った。
 もやもやを抱え、急いで小雨の中、花束を持ってお寺に向かった。墓前にさきほどの花をお供えし、お線香をくゆらせると泣き出してしまった。余命短い老犬ももこをなるべく気持ちよく過ごしてもらおう、症状が安定するようできるだけのことをしようと心を砕き、薄氷の上にいるような日々を重ねてきたその思いの丈がさきほどの日時変更の電話で表面に吹き出し、相手方には怒りを亡くなった父母には悲しみをぶつけた。
 死んだ人は生きている人を傷つけないと思った。お供えした花が雨の中で光を集めたようにきれいに見え、なぐさめられた。人は癒す力においては無力というか花よりも劣るような気がした。

今日の午後のももこ
まだ歩ける状態のときに夜眠っていたベッドを居間に持ってきて
昼間用のベッドにした
動物病院からの電話で怒ったわたしをこのベッドに横になったももこが
心配そうに見ていた