あたたかな日差しの11月の日曜日に

 朝は冷え込んだようだが日中は青空がひろがり、あたたかな日差しが降り注ぐ、気持ちのいい初冬の一日だった。
 朝8時過ぎ、最近にしては珍しく外に出て、柴犬レオと毎日のように行った近くの用水路沿いを歩いていると、知り合いのわんこと飼い主さんに会った。その方の14歳になる愛犬は女の子で、乳腺に腫瘍ができて悪性が疑われると獣医師にいわれたと話した。高齢なので、検査をして確定しても体力的に治療ができないのではないかと考え、検査をするかどうか迷っているようだ。
 コンビニに朝食のパンを買いに行くつもりだったが、その飼い主さんと少し歩き、話しているうちにあることを思いついた。実は最近描いた建物の絵を、近代建築スケッチ公募展に出展しようと思っているのだが、℃の絵にしようか決めかねていた。というより自分の中では決めているのだが、誰かに見てもらい、意見というか感想を聞きたかった。誰に絵をみてもらえばいいのか昨夜考えたのだが思いつかず、ご本人に会ってこの人しかいないと思ったのだ。
 飼い主さんに絵を見てもらえるか聞くと、今週の初めは忙しいと言うので、すぐ自宅に来てもらうことにした。さっそくスケッチブックの絵を3点見せると、わたしがこれだろうなと思っていた絵がいいと言ってくれた。彼女はもともと油絵を描いていたが、数年前から水彩画を描くようになり、わたしの知人友人の中でいちばん絵を見てもらうにふさわしい方なのだ。
 日曜の朝は思いがけないラッキーで始まった感じがした。わたしにとってだが。
 午後は借りていた本を返しに車で図書館まで行った。広い敷地に複合施設が集まり、敷地内は紅葉がきれいだった。日当たりがいいためか、公孫樹の黄葉が見事で、輝くばかりの黄色の葉っぱが青い空に照り映え、うっとりと眺めた。風が吹くと葉っぱがいっせいに降り注ぎ、歓迎されているような気持になった。
 柴犬レオとよく車でいっしょに来たことがあるが、紅葉の季節は一度も来たことがなかった。こんなきれいな紅葉の時期、日差しがいっぱいの気持ちがいい日に、レオといっしょに来たかったと思った。レオとは雨の日に来た思い出がある。地下の駐車場に止めた車にレオを置いて、図書館で調べ物や資料のコピーなどをした後、レオを車から降ろして傘をさして敷地内を歩いた。あれは初秋だったのか梅雨の季節だったのか。
 レオと2回入ったことのあるベジタブル・イタリアンレストランに入り、ランチを食べた。テラス席の椅子にはひざかけがあり、あたたかい座布団が置いてあった。カップルや家族連れ、親子などがそれぞれの日曜の午後を楽しんでいるが、わたしはレオの写真をテーブルに置き、レオのことを思い出しながらきれいな雲に彩られた初冬の空を思いっきり眺めた。ランチは数種類の豆と野菜が入ったブラウンクリームシチュウ―で、おいしかった。この店はレオなしで来た回数のほうが多くなった。レオと来たのはたった2回、ひとりで来たのは7〜8回くらいか。


紅葉と黄葉のコントラスト
色づいた葉が陽光を受けて輝く


ほとんど葉を落したカツラの木
透けて見える青空と白い雲がきれい


レオの写真を置いたテーブルの上には、青空がひろがる
テラス席


敷地内で見つけたムラサキコシキブの実