柴犬レオを可愛がってくれた人

 16歳と2カ月あまりで他界したレオを(家族を除いて)一番かわいがってくれた人が、レオより前に他界していたことを今日知った。
 昨日と同じように、レオとの散歩コースだった等々力不動方面へ、早朝の散歩にでかけた。途中にその方の家がある。10歳くらいまでのレオはこの家の前を通ると、中の様子を生垣越しに伺うようにした。そんなとき、たまたまその人が庭に出てくると、よくササミジャ―キーなどのおやつをもらった。
 その人も雄のビーグルを飼う愛犬家で、人の背丈近い草が茂る多摩川の中州でそのビーグル(ジャーニーという、これからはJと呼ぶことにする)がネズミ捕りをしているとき、レオとわたしはばったり出くわした。その人の顔にはネズミの血しぶきがかかっていて、わたし的にはかなりびっくりした出会いだったが、レオはワイルドな先輩犬Jに心酔してしまった。この出会いから、レオはその犬の子分になったのである。
 そのビーグルはネズミ捕りの名人(犬)だったが、タヌキを追いかけるのも好きだった。その人とJに付いて、広い草むらでタヌキを追いかけるのにつきあったことがある。Jは茂みの中にもぐりこみ、執拗に追いかけるが、レオはその先輩の追いかける姿を目で追うだけだった。タヌキはそれほど興味がなかったようだ。
 だが多摩川の河原で会えば、いちもくさんにJのもとに走り寄った。飼い主さんがくれるおやつが目当ということもあったようだ。そのビーグルは7〜8年間に亡くなったがレオはしばらくはJがいないということが飲みこめないようだった。
 今日はその家の前を通ると、女の人の声が聞こえたので、垣根越しに声をかけた。昔、ご主人によくうちのレオがおやつをもらうなど、可愛がってもらいました。するとその人が昨年末に鬼籍に入ったことを知らされたのである。犬が好きで、いつも犬といっしょの楽しい人生でした、と奥さん。
 レオが16才あまりで死んだことを知らせると、長生きでしたね、おめでとうございますと言われた。
 レオをかわいがってくれたご主人は愛犬のJが亡くなった後、毎日のように犬と過ごし、散歩にでかけていた生活の張りを失い、ぼーっとしてしまった。次の犬をすぐ飼いたい気持ちになったが年齢のことがあった。その当時で70歳を少し超えていた。保護された犬を引きとって飼おうか迷っていたときに、わたしが背中を押した。
 保護した犬を飼っても、子犬から飼ってもそんなに違わないと思いますよ。後でわたしのこの一言がきっかけになり、新しい子犬のビーグルを飼うことになったのをその人が話してくれた。
 新しいビーグルは女の子で、レオは全く興味を示さなかった。向こうも同じで、それからは散歩の途中で会ってもレオが走り寄ることはなかったが、おやつは前と同じようにもらっていた。その人はレオ、レオと呼びながら、おやつを出してくれた。レオも大好きだった人だ。
 その人がレオより先に亡くなったことを今日知り、またレオの幸せだった若い頃が遠くなったような気がした。
 ありがとうございます、レオを可愛がってくださって。レオにとって、散歩のときにジャーニー君と飼い主さんを見かけることは、大きな喜びでした。はずむ足取りであなたたちの元に駆け寄った若い日のレオの姿がまぶたに浮かびます。
 ご冥福をお祈りいたします。

2〜3歳のレオ、
この少し前に多摩川の中州で尊敬できるビーグルの先輩犬に出会った
犬の場合、いちど好きになると終生その気持ちは変わらないようだ
この頃はデジカメでなく、一眼レフカメラにリバーサルフィルムを入れ、レオの写真を撮っていた
スキャンして、プリントアウトしたもの


この写真は上より少し年齢が上のとき撮った
4〜5歳くらいか
いま駐車場になっている所に古い家が建っていて、竹垣でわが家と敷地を区切っていた
これも一眼レフで撮った


午後はレオの写真をバッグに入れて、
車で図書館へ
以前レオといっしょに入ったことがあるテラス席がある店で
ランチを食べた