お祭りの日

 昨夜の満月はブルームーンというそうだ。一か月に2回、満月が見られるとき、2回目の満月をそう呼ぶ。今朝、訪問したブログでそのことを教えていただいた。
 昨夜半、老犬レオを散歩に連れていったとき、夜空には大きな岩山のような雲がいくつも浮かび、その間からミッドナイトブルーの空が深い谷のように見えた。レオの首輪につないだリードを手にしながら、空を見上げたわたしはその谷の深さに思わず吸いこまれそうになり、足元がよろけたのを憶えている。南方向に目をやると、月がこうこうと輝いていて、ほっとした。雲の形と満月(正確に言うと日にちが変わっているから満月ではないが)はおもしろいコラボレーションで、レオと歩きながら飽かず眺めた。
 昨日の満月がブルームーンとは今朝知ったが、印象に残る満月を見られてラッキーだった。
 今朝は昨夜同様、いやもっと雲が多く、午前中はにわか雨が降った。雲は厚く空をおおっているから、まだ雨が降るかもしれない。
 今日は近くの神社でお祭りが開かれるというのに、待望の雨がお祭りの日とは・・・・・・・・・。
 雨が降ったり止んだりを繰り返し、夕方になり、青空がのぞくがまだ油断はできない。
 近くの八幡神社で開かれるお祭りは、9月の第一土曜・日曜に毎年、開かれる。昨年のお祭りは東日本大震災でお祭りは中止になったが、ここ7〜8年くらいはレオと、母がいるときは母といっしょにでかけていた。
 思えば5年前、母と最後になるお祭りに行ったのを憶えている。レオもお供した。カートを押しながら歩く母と、少し高台にある神社の境内まで歩いた。あのとき、このお祭りが(母と行く)最後かも、と思った。母が他界することを予感したのではなく、こうして母が自分の足で歩いて行けるのは今年が最後だろうなと思ったのだった。
 だから、体調があまり良くない母をあえてお祭りに誘ったのだが、あのとき、行ってよかったと思っている。にぎやかなお祭りの雰囲気や、知り合いの人とことばをかわしたり、素人のカラオケを楽しんでいたから。

 老犬レオの散歩の後、夕ご飯を食べさせてから1人でお祭りに行った。今夜は宵宮祭、明日は例大祭
 境内には老若男女、大勢の人が集っていた。まず、お参りをしてから、無料の生ビールをいただいた。近隣の有志たちが歌を歌っている舞台を見た。
 父母が10年以上診察してもらっていた近くの診療所の医師が今年の6月に亡くなったが、たまたまお祭りの会場でその奥さんに会い、その経緯を伺うことができた。
 最後まで現役で仕事をすることにこだわった医師は家族に自分の病を隠し通し、最後の最後まで診療を続けたそうだ。家族が救急車を呼び、病院に運ばれたときは危篤状態だった。
 わたしの母は亡くなる1年2カ月くらい前までは、1週間のうち4〜5日くらいはこの診療所に通っていた。母にとって、毎日のように診療所に行くことがある種の励みになっていた。このことを医師の奥さんに話すと、そう言われることが亡くなった人の供養になると言ってくれた。
 さらに母から助けられたり教えられたことが多かったと奥さんが言った。どういうことかは訊ねなかったが、そう言われて母も喜ぶだろうと答えた。
 お祭りに行き、生前の母と縁のある人に会えたのは、大きな贈り物をもらった気持ちがした。