渋谷ヒカリエ人の波

 昨日は友だちと8カ月ぶりに会うために、渋谷駅東口にあるヒカリエという新しくオープンした複合商業施設を訪れた。
 お盆休み中なので、都内は閑散としているかと思いきや、ヒカリエはおおぜいの人が押し寄せていた、かくいうわたしたちも押し寄せたのだが。
 待ち合わせ時間がちょうどお昼の時間だったこともあるだろう。食事をするために6階に上がったが、エスカレーターで次から次へと上がってくる人人人・・・・ほとんど恐怖心をおぼえるほど。友だちはあまりに大勢の人が目の前を通り過ぎるので、気持ちが悪くなってしまった。

 さて、この話を続ける前にでかけるまえに戻る。老犬レオがわたしがでかける時間に間に合うように朝起きてくれるかが問題だったのだが、昨日は9時半に起きた。いちど7時ころ起きたので、庭に出したがまた眠ってしまったので、これはこのまま眠っているかなと思った。わたしがいなくても水が飲めるようにバケツの水を用意したり、玄関のたたきに置いてあるものをすべて取り除いたところだった(おしっこをしても大丈夫なように)。
 だが起きたので庭に出し、道路を歩かせ、水を飲んでもらい、チーズにくるんだ薬も外で飲ませた。あまり散歩に時間をかけないで、家に入り、朝ごはんを食べさせようとしたが本人はもっと歩きたいみたいで自分でまた道路に出たりした。
 朝ごはんも予想に反して食べたので、気分的にゆとりができた。居間にはエアコンをかけ、部屋の外に出られるように襖と障子を少し開けておき、レオが行ける部屋にある隙間にタオルケットやバスタオルをつっこんで、入れなくした。
 こうして思ったよりうまく出かける前の準備が整い、家を出た。

 友だちは「こうして外で人と会うのは今年で3人目」と言ったが、考えてみるとわたしは二人目であることに気づいた。最寄駅から電車に乗ったのも今年2回目だ。いつもは車で行けるところに行っていた。
 さて、人ごみにあたって(?)気持ちが悪くなった友だちは、比較的空いていた店に入って昼食を注文してもほとんど食べられなかった。ほんの2口3口。
口当たりのいい杏仁豆腐さえ、ほとんど残した。
 そんなわけでヒカリエにどのような店があるのか、どういう施設があるのかは、ほとんどまったくといっていいほど見ていない。
ただ、わたしの勘違いで、このビルが建つ前の東急文化会館プラネタリウムがあったので、新しい商業複合施設にもプラネタリウムがあるのではないかと思い、あまり乗り気でない友だちを誘って、8階までエスカレータで上がってみた。シアターホールへの階段があった。
 後で調べてみると、五島プラネタリウムの歴史を受け継いでつくられた劇場を東急オーブ(空間)と名づけたようだ。こんな駅前の一等地にプラネタリウムをつくるなんて、望みようがないのだろう。
 渋谷駅をはさんで反対側にある東急プラザ内のカフェでやっとひと息ついたわたしたち。ほどよい人がいて、いごごちのいい空間だった、カウンター越しに見える、お店の人が手際良く楽しそうに注文を受けた飲み物を作っている様子に好感がもてた。ゆったりした気持ちで友だちとの会話を楽しめた。友だちもこちらの店ではケーキをぺろりとたいらげた。

 外出時間は行き帰りの時間も入れて5時間ほど。往復1時間くらい(行きは駅までタクシー)。帰りは駅前のスパーマーケットに寄って帰ると、レオは玄関のたたきにごろんと横になっていた。もわっと暑いところだ。
 レオを抱き上げて、エアコンがきいた部屋に寝かせた。ひと部屋に閉じ込めるような状態で家に置いておくのはかわいそうと思い、廊下に出られるようにしていたがレオが歩いた形跡がある。わたしを探して歩いたのだろうか。
 わたしをここで待っていたのだろうか。犬は30分待つのも5時間待つのも同じだと誰かに聞いたことがある。時間が長い短いの感覚がないそうだ。そういえば若い頃、近所に用があり、10分くらいで帰ってきても何日も会えなかったように、しっぽをびゅんびゅん振り回し、すごい笑顔になってじゃれかかり、めちゃくちゃ喜んで迎えてくれた。
 レオは5時間もぼくをひとりにして・・・・とは思わないだろう。ただ、いるかいないかだけ。


出かける前、庭を歩くレオを見てつくってみました。
「風わたる庭を歩きたり老犬レオ15歳になるあの夏の日よ」
「老犬はチーズに包みしてんかんの薬おいしそうに口に入れたり」

「友と会う渋谷ヒカリエ人の波」
「老犬はわたしを待ち玄関のたたきに降り寝転がりけり」


渋谷駅東口にある複合商業施設ヒカリエ
わたしが行ったのはこの建物の8階まで