とつぜん、見知らぬ柴わんこが・・・・・

 午前中はいつもと同じ老犬レオとのゆったりした時間が流れた。朝起きて歯ぎしりをともなう発作を起こしたが、おさまったので外に出し、用をを足し、家に戻った。朝ごはんは食べるだろうかと心配したが、ぜんぶ食べた。しばらくしてまた外に行きたがったので、庭に出て過ごした。レオはアプローチや裏庭をうろうろふらふら歩いていたが、疲れたのか地面にぺたっと座り、そのまま横になって眠ってしまった。木漏れ日がさし、涼しい風が渡り、気持ちよかったのだろう。
 わたしは寝ているレオを見守りながら、草むしりや庭の掃除をした。30〜40分くらいして、むっくり起き上がった。日差しが強くなったので、家に入れたら、玄関先の廊下でそのまま寝た。
 午後はレオも寝ていたが、わたしも昼寝をした。雷がなり、激しい雨音を夢うつつに聞いていたが、誰か女の人の声で目が覚めた。玄関の戸を開けると、近くの八百屋さんのおばさんが、柴犬とともに立っていた。「お宅の犬かと思って」というがレオは家にいる。だが柴犬を見て、心当たりがあったので、預かった。すぐリードをつけて、雨の中を心当たりの家がある方向に歩いた。前も雷が鳴った時、商店街のほうに逃げ出し、飼い主さんが探しに来たことがあった。わたしは飼い主さんがこの柴犬を探していて、途中で会えると思っていたのだ。
 だが肝心なことを確認してなかった。心当たりの柴犬は男の子なのだ。立ち止まって、確認すると女の子だった。急遽、引き返し、ケイタイ電話で、近くの警察に電話し、犬の特徴や保護した場所、わたしの住所、連絡先を伝えた。わたしが住んでいる所は2つの区の境界なので、2か所の警察に電話した。
 さらに家に帰ってから、保護した犬の里親探しをしている団体で活動している知人にも電話。十中八九、飼い主さんが見つかると思ったが、万が一のことも考えた。
 連絡するところは連絡した後、柴犬を玄関先につないで待った。もし飼い主さんが現れないとき、ドッグフードをやらないといけないとか、夜はどこで寝てもらおうか。そんなことを考えていると電話がなった。警察からの電話で、ある駐在所に連絡したところ、逃げ出す常習犯の柴犬がいるがその犬ではないかということになったようだ。駐在所から直接、わたしに電話をしてもいいかと聞かれ、いいですよと答えて電話を切ると、すぐかかってきて、どうもその犬らしいので迎えに伺いたいということになった。駐在所の警官の奥さんからの電話で、迎えに来たのもその奥さんだった。近くの家の柴犬で、よく脱走するらしい。庭に放しているが、穴を掘って逃げ出したこともあるそうだ。
 外で飼っているらしく、冬毛が厚く、ぼそぼそと抜けかかっている。迎えが来る前に、雨に濡れた体をタオルで拭いてあげたが、毛が密集していて、ぼってりした毛が水をふくんで蒸れそうな感じ。いくら拭いてもきれいにならなかった。
 迎えに来たのは飼い主さんではなかったが、家に帰れると思ったのか、柴犬は足取り軽く帰って行った。
 この間、レオは廊下のカーペットの上でずっと寝ていて、迷子の柴犬がわんわん盛んにほえたときも気がつかなかった。

庭で眠るレオ


スケッチしてみた


心もとない表情の、迷子柴わんこ