5年ぶりの豆まき

 
 節分のために、豆を用意していたがすっかり忘れ、戸締りをした後、思い出した。さっそく一部だけ、ガラス戸を開けて、豆まきをした。「鬼は外」「福は内」、何回目かに「鬼は外」と豆をまいたら、わたしの後ろから何をやっているの、と様子を見に来た老犬レオがズルッと外に落ちてしまった。というより本人は外に行きたかったのかもしれない。あわてて「レオは鬼じゃないよ」と言いながら、裸足で庭に降り立ち、レオを抱えて部屋に上がった。早々に豆まきを切り上げて、戸を閉めた。部屋に散乱している豆を手で拾い捨てたがこの手間を考えると、恵方巻きの方がいいかな、とチラッと思った。
 今日の豆まきは、5年ぶりの豆まきで、その前は2007年に父がやったのを覚えている。その年は母がいた最後の年で、父にとって最後の豆まきになってしまった。父は父なりに家族の一年の健康を願って、豆をまいたのだろう。母がいなくなったら、父にとって豆まきをする意味がないというか、気力がなくなったにちがいない。
 久しぶりの豆まきだがレオがいいタイミングで外に出てくれたので、少し可笑しくなって、しんみりせずにすんだのはよかった。