遠雷が聞こえ、だんだん近づく

 午後になり、最初は片空だけが黒い雲におおわれたがすぐ青空が消え、厚い雲が空全体にひろがった。
 遠雷が聞こえ始め、しばらくたつと外がまだ3時前なのに真っ暗となった。
 まだ遠雷は聞こえるが外は少し明るくなったように思える。さっきまで盛んに吹いていた風がぴたっと止まった。
 ざあーっと降りそうで降らない。
 雷が近づいたようにも思えるが・・・・・・。

 午前中は晴れ間が出たのでたまっていた洗濯をした。洗濯機を3回使ったほどだ。
 桃の木と梅の木にわたした物干竿にもたくさん干した。乾いたものから取りこみ遠雷が鳴る頃にはすべて取り込むことができた。
 一人ぼっちの夏は老犬ももこが死んでから2回目。慣れるなんてことはない。なんど繰り返しても慣れないことがある。慣れるということばが嫌いだ。

 朝の連続テレビ小説「半分、青い」を見た。心臓を病み、命の危うい母親が近所の友だちと話しながら笑い声をあげた。その声を隣りの部屋で聞いた息子が声のほうに手を拡げて掴むしぐさをする。お母さんの声と言って。
 この場面から自分の母親が亡くなる9日くらい前に、新年の電話を親戚の人と話しながら笑顔になっていたのを思い出した。3日後に救急車で病院に運ばれることになるとは母もわたしもまったく予想もしなかった。いつもの年と同じようにお正月が過ぎ、1月が過ぎ、1年が過ぎてゆくものとどこかで思っていた。
 
 天空を1羽の鳥が羽根ひろげゆうゆう大き円を描ける