晴れのち曇りのち雨の日曜日

 朝は気持ちがいい青空がひろがり、雲ひとつなかった。時を置かずきれいなはけ雲が空全体を流れるように移動した。はけ雲が去った空は青空となったがまた時を置かずこんどは厚い雲がおおいはじめた。
 お昼前に空はほとんど雲でおおいつくされた。天気予報だとお昼頃から雨とのことなので予報通りになりそう。
 午前中、思い立って庭に出て枯葉を掃除した。雨が降ると濡れ落葉になって掃くのが大変になる。庭隅や木の根元に落ち葉がたくさん吹き寄せられている。乾燥しきってがりがり音をたてる落葉を掃き集め、庭に掘った2つの穴まで運んだ。落葉をためた穴の上に乗り、体重をかけて枯葉を押しつぶした。まだいくらでも入りそうだが、こちらが疲れてきたので庭の一画だけにした。
 手を休めると柴犬レオが庭を歩き回ったり、駆けまわったりした姿が目に浮かんできた。目をこらすとレオのまぼろしが柿の木の下に見えるような気がした。思えばこの庭はレオとももこ、二匹の犬が過ごし、わたしと愛犬たちが心を通わした。いつまでも忘れられない思い出が塗りこめられている。


 庭隅にたまる落葉を掃きよせば犬のまぼろし顕ち来たれり

 赤信号を渡りてゐる黒猫の咲きそむ白梅借景にして

 遠い海辺のやうにはけ雲が朝のおほぞらを渡りゆける

 はけ雲の群れなせる空つかのまに厚雲のおおふ空に変われり

 昼ごろにくずれる天気おほぞらは雲を集めて雨に近づく

 手づくりのチョコレート用意せるときのありきとその日近づき思ふ

 愛犬の二匹この庭に遊びし日を思ひかへせり手を休めて

 午後のいつごろからか雨ふりはじむ庭のしめりにも足りぬ雨が

 炬燵にてまどろめる午後誰とも知れない夢見し短き眠り