冬の光がいっぱいのお不動さま

 昨日より朝の冷え込みが強く、メダカを飼っている水瓶に薄氷が張っていた。
 午前中、日差しがあたたかくなってから近くの菩提寺にお墓参りに行き、その足でぽかぽか陽気に誘われて等々力不動まで足を伸ばした。
 今日は高台にある不動尊の本堂には行かないで、その下にひろがる桜の木がいっぱいの境内を訪ねた。ソメイヨシノの古木がかなりの本数植えられた、この境内ではだいぶ前から、ソメイヨシノを養生させるために、木の回りに柵が作られ、根元を保護してきた。夏は草が生い茂り、人の背の高さくらいになるところも多く、人を寄せ付けない雰囲気だった。
 ところが今日足を踏み入れると、桜の木の回りを囲っていた柵は取り除かれ、雑草もすべて刈られて、広々とすがすがしい境内に変わっていた。茶色の落ち葉が散り敷く地面に冬の光が降り注ぎ、落ち葉が白っぽく光り、人を招き寄せるような場所となっている。
 ここは他界した柴犬レオがまだ若い頃(7歳くらいまでか)、よく足を伸ばして遊びに来た。境内の近くの民家に三匹の柴犬(女の子)がいて放し飼いにしていたので、レオが境内に来るとときどきその柴犬たちもやってきて、じゃれあっていた。その場所が8年くらい前からソメイヨシノの養生のために、なんとなく足を踏み入れにくくなっていた。
 桜の古木たちは8年ほどの養生を経て、よみがえったのだろうか。冬の日差しをあびてのびのびとしているように見えた。今年の春はきっと見事な花を咲かせてくれるだろう。境内の奥に祀られている地蔵尊に手をあわせて、レオとここに遊びに来た時あたたかく見守ってくださり、ありがとうございます、レオがわたしの心の中で幸せでありますように、回りにいる人たちすべてが健やかな日を過ごせますように、と祈った。

明治神宮献詠1月の兼題は「若水
こんな短歌をつくってみた
若水をくみつつ見やれば滝音がひびく谷間に一筋のひかり」


この奥にソメイヨシノの木が立ち並ぶ


裸木となったソメイヨシノ
以前は木の回りが柵で囲われていた
柵がなくなり、草も刈られて、ひろびろとしている
ソメイヨシノの枝も太陽に向かってせいいっぱい手をひろげているような、そんな雰囲気がある
奥に小さく見えるのが地蔵堂