自由が丘にでかける

 朝の冷え込みは強く、防寒対策をほどこしたメダカの水瓶に薄氷が張っていた。花壇は霜でバリバリに凍っていて、忘れな草ビオラなどの葉が無残にしなびている。心配は無用。日中気温が上がると元に戻るから。これだけ厳しい目に合いながらも冬を越し、春に花を咲かせるのだからその強さにはいつも感嘆する。
 昼食後、すぐ外出した。自由が丘でセミナーがあり、年に4〜5回くらい出席している。老犬ももこがいるときも同じようにしていた。ももこが闘病生活を送った最後の4ヶ月はやめていたが。
 1時間半くらいで終わったので、いくつかの買い物をした。だんだん物欲が衰えてきたがそれでも買い物は見るだけでも楽しめる。家に待つ犬がいないので時間を気にすることがないが反面寂しいがある。
 最寄りの駅から家に向かうが下り坂の途中から多摩川の河原のはるか向こうに丹沢の山々と富士山が見えた。空気が乾燥しているためか、遠景が大きく感じられる。紫を帯びた丹沢山系の連なりとその上に顔を出す明るい朱鷺色の富士山が巨大な六双屏風のよう。山々の向こうに没する太陽がひときわ輝きを強め、しばらく立ち止まって眺めた。
 

 制服に好みのマフラー装いて女子高校生連れ立ち歩く

 「たばこ」の大きな看板 商店のこわされし後いずこにいくや
 
 品物のない棚並ぶ店内に店主の笑顔ふとよみがえる

 店のなか何もない棚の上に店の空気が載せられている

 暮色に染まる富士の山 丹沢の山々はさらに色濃くふたいろ重なる

 丹沢の山々の向かふ日の落ちるまぎわすべての力で輝けり