早稲田スコットホールギャラリーで

 今日から「第二回東京の近代建築スケッチ公募展」がはじまった。3時からオープニングパーティだが、一時間くらい前に会場に着いた。ギャラリー前の広場に見覚えのある女性の姿が・・・・・。大学時代の友人がご主人と来てくれるとのことだったがその友人だった。10年くらい会っていないが変わっていないのがうれしかった。
 彼らはもっと早く着いて、ギャラリーの絵をすでに見たそうだが、いっしょに会場に入ってくれた。友人とひさしぶりのおしゃべりを楽しみながら、ご主人も交えて作品を見て回った。今回の参加者は42人とのこと。水彩画がほとんどで、一部、鉛筆画もある。わたしが描いた自由学園明日館を描いた人は他に2名いた。一人は建物の内部、現在の喫茶室を鉛筆で描いていて、天井までよく見て描かれているのに驚いた。わたしもこの喫茶室に入ってお茶を楽しんだが天井はそれほど印象に残っていなかった。空間の表現の仕方というか、床のほうをあえて描かないでホワイトスペースとして残している描き方がすばらしいと思った。
 いいなと思った絵が何点かあったが、そのうち2点がある女性のグループの方たちの作品だった。最初は先生の指導を受けながら、街並みのスケッチを勉強していたが先生が亡くなった後、生徒さんだけで定期的にスケッチを楽しんでいるそうだ。三鷹市にある山本有三記念館と、世田谷区等々力七丁目にある古い建物の文房具屋さんのスケッチで、どちらも賞をとった。
 立派な近代建築もいいが、街に残る古い建物の風情もいいなと思った。
 大学時代の友だちはオープニングパーティが始まる前に帰ったが、パーティが始まってから少したって、こちらも15年以上会っていない友人が訪れた。お互いに変わっていないねと再会を喜んだ、彼女は水彩画の表現力にとても感心して、街並みや建築の絵の多彩さにも驚いていた。
 他に、こちらも20年近く会っていない知人がわたしが来る前にギャラリーを訪れ、新刊の著作本と絵画展の案内葉書を受付の人に預けていた。知人は昔からリトグラフを楽しんでいて、一度グループ展に足を運んだことがある。 
 展示された作品を観賞し、何人かの方と話をして、いろいろな刺激を受け、これから絵を描いていくエネルギーになりそうだし、ごぶさたしていた友人に会えて充実した時間を持つことができたように思う。


スコットホールギャラリーのある早稲田奉仕館
スコットホールギャラリーの入り口は写真左端にある


 早稲田奉仕館のある早稲田界隈は学生時代よく歩いたところなので、なつかしくなり、ギャラリーを出た後、早稲田文学部から大隈講堂の方へ歩いた。途中、構内に入り、坪内逍遥の古希とシェイクスピア全集の翻訳完成を記念して建てられた早稲田演劇博物館の方へと歩いた。あまり学生時代のことは思い出したくないのだが、歩いていると否応もなく思い出す。建物は変わっているだろうが、構内の通路は当時とまったく同じで、同じ路を行き来した昔がよみがえってきた。
 ただ、早稲田への往復は学生のときとは違う経路を選んだ。学生時代は高田の馬場駅から早稲田行きのバスに乗って通ったが、今日は東京メトロ副都心線を使った。わが家から早稲田へはすごく便利になった。時代の変遷を感じた。