花桃と金木犀

 駐車場横に植えられた金木犀の剪定の仕上げをした。脚立に上がって、パチパチ。足場がよくないので、あまり脚立の上のほうまで上がる気になれないので、木のてっぺんは高枝剪定バサミで切った。
 この金木犀は今年、いままででいちばんきれいな花を咲かせた。花つきがよく、枝をほどよくすいたので見栄えもよかった。
 だが、である。金木犀のてっぺんからは、花桃の木が伸びている。根元を見ると、太い金木犀の主幹と、花桃の幹はほぼ並んでいる。
 推測するしかないが、多分、父が金木犀の木のすぐ側に、花桃の苗木を植えたのだろう。9年くらい前に植えた時はどちらも背が低い木だった。金木犀は150センチくらい、花桃は膝くらいの高さの木だったのではないか。
 植えてから7〜8年は、花桃の木は金木犀の木の高さを超えることができなかったが、着々と伸びていた。金木犀のてっぺんから花桃の木が姿を現したのは、2年前だ。
 えッと思った。白い花桃の花が咲いて気づいたのだ。
 今年の春は花桃の木はさらに伸び、花もたくさん咲いた。
 植木屋さんに、花桃を掘り起こしたいと言うと、これだけ大きくなってしまうと根が地中でからまっているので、難しいといわれた。どちらも枯れてしまうこともありうると。
 このままにしておくと、しばらくはどちらの木も花を咲かせるだろうが、ゆくゆくは勢いがあるほうの木が生き残ることになるらしい。
 今年、見事な花を咲かせた金木犀、春先に白い花で目を楽しませてくれた花桃。どちらも毎年、大きくなるが、どこかで一方の木が生長できなくなるのかもしれない。なにしろ、ほぼ同じところで根を張っているのだから。
 できればこのままの状態が続いてほしい。どちらも父が植えた木だから。

剪定した金木犀の上から花桃が出ている


根元はこんなふうになっている
左の2本にわかれている方が金木犀
右に寄り添うようにしている木が花桃


 老犬レオは今朝も4時前に起きた。月が星たちを従えるようにして上空に出ていた。外に出したがおしっこをしなかったので、しばらくして家に戻り、また親子ともども眠った。
 わたしが起きたのは8時前。レオは10時ころ起きたので、道路に面にした駐車場で歩いたり、休んだりしていると、ゴールデンレトリバーを連れた知り合いの女性が通りかかり、もう一匹のゴールデンレトリバー(12歳と半年くらい)が先月亡くなったと話してくれた。息を引き取った当日の朝、病院に行く時、車に飛び乗り、家に帰ってきて車から飛び降りたのだが、その後、家の中になんとか自力で戻って死んだ。力尽きたという感じで廊下の端にバタンと倒れたそうだ。胸水がたまり、息がきれるという症状はあったが、そんなに重篤な状態にあるとは飼い主さんはまったく気づいていなかった。
 散歩もいつもよりたくさん歩いていたらしい。だがこれは胸に水がたまると苦しくて横になって眠れないため、外を歩いて気を紛らわせていたため、と獣医師に言われたそうだ。
 犬はかなり症状が進み、死ぬ寸前くらいまで行っても、家族にそれを気づかせないようにしてしまうところがある。犬は群れで生活する動物なので、身体の異変を仲間に気づかれると群れから脱落する怖れがあるから、隠そうとする性向があると、ある獣医師から聞いたことがある。
 このところ、立て続けに、知り合いの高齢犬が亡くなっている。夜になって風が冷たくなったが、時の流れの速さも身にしみる。

午後になり、裏庭で少しだけ眠った。
西日があたっていた。
眠る前は家の前の道路でうろうろしていた