雲の多い日、武蔵小杉の歌会へ

 濃い色の暑い雲が空を覆い、居間にも雨が降りそうな一日。ときおり雨がぱらつくが傘がいらないくらいの雨だった。

 午前中は、「伊豆山歌会」という短歌大会に2首の短歌を送った。4センチ×23センチの短冊状に切った紙に短歌を1首づつ書いて封書で送った。

 短冊状に切った紙に短歌を書くというアイデアに感心し、7月末必着の季刊の短歌誌に送る10首をこのやり方でまとめることにした。自分がいいと思った短歌を紙に書いたものを10~20枚つくり、そこから10首を選び、さらに構成も考える。今いいと思っても時間が経つと変わることもあり、また使う言葉を変えた方がいいと気づくこともある。1首1首を見つつ、全体の構成(短歌の並べ方)も考えることができる、いい方法のように思える。

 今日の歌会は司会を務めるので早めに家を出た。武蔵小杉に30分以上前に着いたので、いくつかの買い物をした。中原市民館に入館したのは1時20分ほど前だ。

 時間が来て2階の広い会議室に歌会に参加する仲間と移動した。

 1時に始まり、途中一回15分ほど休みを入れて、4時過ぎまで歌会が開かれた。

 今日の歌会はいままでにない、おもいしろい現象が起こった。ぜんぶで19首の短歌を事前にみなさんに送り、5首を選んで歌会に臨んでもらう。いままでは誰も選ばない短歌が数首あったのだが、今回はそれがなかった。19首すべて最低一人には選ばれている。最高で4人に選ばれた短歌が2首、一人にしか選ばれなかった短歌が10首あった。

 わたし自身の全体の短歌に対する感想はいまいちの短歌が多かった。これだ、というのがなかったのが、選が割れた要因のひとつではないか。歌会が終わった後も、いい短歌だなというのがなかったという妙な後味が残った。

 これもあってのことだろうか、いつもなら歌会のあとに数人で行く店も、他に行きたいところがあるからとやめた。夕食の食材などいくつかの買い物をして武蔵小杉を後にした。

 最寄り駅に着いてこのまま家に帰る気持ちになれなかったので、駅前のカフェに入った。2階は人が少なく快適な店だ。二方向に窓があいている角の4人席に座り、ホットコーヒーを飲みながら、ラインに短歌を記した。

 歌会の最中、友だちからラインをもらい、歌会のあと少しやり取りをしたので、その続きもこの店で少しした。と言ってもスタンプのやりとりだが。

 歌会のあとの、もやもやした気分が少しづつ消えていった。名歌ではないが、いくつもの短歌を作った。目に見えて心に感じるものをそのまま詠った。こんなことがわたしにとっていやしになるとは。

 10首以上作りもう歌はいいかなと思えたので、店を出て家に帰った。

 

ガラス越しに眺める女のレジ袋その重たさは他人事にあらず

 

駅前のカフェの二階で戒めを解くかのやうにイヤリングはずす