雨が降る前に落ち葉の掃除を

 雲が多く洗濯物は止めておこうと思うような空。

 いつもより遅く7時に目覚めた。目覚めたばかりだが疲れを感じてすぐには起きられなかった。

 朝からあまり元気がないが、このまま家の中にこもるのもよくないと思い、庭で出た。先週は外出の機会が多かったが、庭をあまり見なかったのだろうか。いつのまにか柿の葉がどさっと落ちている。部屋のなかから落葉を眺めて、雨が降りそうなのでその前にかき集めようと思った。

 まだ3~4割の葉が残っているが、空が透けて見える。一面、柿落葉が敷き詰められたようだ。桜の落ち葉も混じっているが柿落葉のほうが存在感がある。

 ゴミ袋は数枚持ってきて、箒でかき集め、塵取りよりも手を使ってゴミ袋に入れた。さくさくと落ち葉のすれる音は快いが同時に気持ちを揺すぶられる。柴犬レオがいた2012年の秋を思い出させる。あのときは小雨の降った後の庭で柿の落ち葉を掃いたが、レオが落ち葉がいっぱいの庭を駆け巡った。老化による脳の異常があったレオは奇妙な興奮状態にあって、走り方もどこかおかしかった。でもわたしの目には元気に見えて、走るレオを見てうれしかったのをおぼえている。

 柿の落ち葉をはく音でこんな思い出がすべてよみがえってくる。年々、思い出はどこかが少しづつ違ってくるような気もする。時間が遠のくにつれ、記憶が少しずつ作り替えられていくのだろうか。

 午前中は落ち葉掃除を少しだけ行い、昼食後、さらに続けた。

 柿落葉だけでなく、駐車場や庭のあちこちの落ち葉を掃き寄せて、3つのゴミ袋に落ち葉をおさめ、さらに庭に掘った穴にも落葉を放り込んだ。

 足が重たく感られるようになったので落葉の掃除をやめて家に戻った。

 居間の隣の8畳間に布団を敷いて横になった。いつの間にか眠って起きると雪見障子の向こうの庭は薄暗くなっていた。起きて硝子戸をあけると庭の植え込みが濡れていて雨が降っているのがわかった。

 雨が降る前に落ち葉の掃除を終えることができて良かったと思った。