今夜は半月、梅の枝のあわいに眺める

 きれいな雲がいろどる秋の空が広がる。

 午前中早めの時間に昨日いっしょに行った友だちに電話をした。わたしより電車での移動時間が長く、疲れたのではないかと思ったからだ。 

 すぐ電話に出た友だちの声は元気そう。昨日のポーラ美術館の話やいつも見ているテレビ番組の話、ときには難しくなる人間関係のことなど、さまざまな話をした。2時間弱話したのでかなりの長電話だ。

 電話を終えるとお昼近くだった。今日は掃除をする日だったのを思い出し、部屋に掃除機をかけた。だいたい4~5日に一回、掃除機をかけている。

 冷蔵庫のなかが寂しくなったので、近所の肉屋さんに買い物に行き、数日分を買った。昼食は買ってきた豚肉を使って焼きそばを作った。

 昼食後はパソコンを開いて、この1週間ぐらいに詠んだ短歌をワードで入力した。最近、短歌を詠むペースが鈍化している。 

 入力をほぼ終えて、箱根行のことや再会した友だちのことなどを短歌に詠もうとしたが疲れが出てうまくいかない。掘り炬燵のそばに横になり、しばらく眠った。

 ラインの着信音が鳴り、見ると参加しているグループからのライン。あまり活発なやりとりはしていないが、新しい参加者が1名増えたというお知らせだ。少ししてから返信した。

 昼寝をしても疲れが残っていて掘り炬燵に座ったままうとうとすると、母親がわたしを呼ぶ声にはっとした。一瞬だが座ったまま眠ったようだ。時計を見ると4時を少し過ぎている。グループのラインにあれから二つのラインが届いている。

 外がとっぷり暮れた頃、わたしの部屋の雨戸を閉めようとサッシを開けて夜空に目を向けると、今夜は半月だ。雲が多めだが月はきれいに出ていて、紅梅の木の枝のあわいから眺められた。この同じ木の枝のあいだから見える月を3年ほど前に詠んだ覚えがある。夏の夕暮れの半月だった。明治神宮の月次歌会で、岡野弘彦先生が「暑い」と言う題を出され、それで詠んだと記憶している。その日が岡野先生の明治神宮での最後の会だった。猛暑の夏をしめくくるように庭木の枝のあいだに半月が浮かんでいるというような短歌だ。