明日が締め切りの5首を推敲する

 朝から雨が降る土曜日。

 きれいな青葉に雨粒が落ちるを眺めていると妙な気分になった。今までのことがすべて流されるような、逆に今までのことがすべて甦るような・・・・・こころのなかをシャフルされるような。

 週末から月曜くらいまでの食料を近所の店で買った。肉屋さんと、土曜日だけ魚を売る八百屋さんをよく利用する。

 昨日、塩尻市で開かれる短歌大会のために選んだ5首を今日は差し替えたり、推敲したりした。なかなか決まらない。

 入賞するかどうかよりも、今の時点でわたしのベストを作品として送りたいと思うから、時間をかけて選び、推敲をする。

 今日の朝日新聞を読んでいて、堀辰雄の小説『風立ちぬ』が紹介されていて急に読みたくなった。昔読んだ文庫が本棚にあるかもしれない、と思って探すがなくて、代わりに稲垣足穂の小説『彼等They』を見つけた。

 1991年発行された初版の文庫本だ。そのなかの「莵」と「蜩」という短編を読んだ。

「莵」は堀辰雄の小説と偶然同じ、肺病を患った少女が登場する。最初に発表されたときは「石榴の家」という題名だった。作者(と思われる人物)が住む家の2階から眺められる昔石榴の木があった家の2階に高校生(だと思う)の少女が病気療養を終えて引っ越してくる。

 2人は恋仲になり、毎夜通うようになる。数学や幾何学、物理学を愛する少女は肺病を患っていて吐血をしてから1年と少しでこの世を去る。

 この短編の魅力はストーリーにあるのではなく、その語り口にある。30年ぶりに読んでまた感動を新たにした。