根府川駅から江之浦測候所に行った

 昨日は横浜駅から東海道線に乗って、根府川駅で降り、迎えのバスに乗り江之浦測候所に行った。 

 小田原のひとつ先にある根府川駅無人駅。無人駅ってどんなところかなと思ったが、構内を掃除している女の方がいてどこかあたたかい雰囲気の駅だった。

 駅前の道は2車線の細めの道だが、大型のダンプカーが通り、乗用車も 多く、小田原方向が特に渋滞していた。

 迎えのバスは1時15分に来るので駅前で落ち合った浜松の友だちと立ち話をしながら待った。

 バスは窓が開けてあり、隣の席に座らないように紙が置いてあったが無視して隣り合って座った。小田原とは反対方向、真鶴半島の方へバスは走った。

 山あいの道をくねくね走るがけっこう人家が多い。10分くらい乗って江之浦測候所に到着。

 ここはもとは蜜柑畑だったようだが、後継者がいなくなり、放置されがちになった土地を杉本博司さんがランドスケープアートに造り替えた。江之浦測候所という名前は杉本氏の発案とのこと。太陽の運行を観測するなどの意味がこめられているのだろうか。

美術館らしからぬ名前に魅力を感じる。

 入館手続きはコロナウィルス感染拡大に対する配慮からていねいに行われ、手続きを待つ人は広い間隔をあけて立っている。手指の消毒を行い、館内のガイドブックを手渡され、手続きは終了。

 別に見る順序はなく自由にめぐっていい。わたしたちは名月門をくぐった。左右に違う石を使った塀が築かれている。左側は根府川石を薄く砕いて積み重ねたもの。根府川石は薄く板状に砕けるようだ。

 門を通り抜けると、右手の平らなところに大きな根府川石が積まれているが4つほど古墳の石も積まれている。左手は石を敷き詰めた能舞台になっている。

 その先に木立が並び、さらに先には石で作った階段状のコロシアムの観客席みたいなものがあり、その先は特殊ガラスの舞台が相模湾に向かって作られている。

 ガラス舞台の横、石の階段を付け抜けて銅色の四角い筒が海に向かって突き出ている。この上を歩くことができる。この先は宙に浮いていて、紐で縛った石が置いてあり先には行かないよう禁止している。この銅色の筒の作品名は冬至光遥拝隊道であり、冬至の朝日がこの筒を通って先の大きな巨石を照らす。この隊道は人が通れる道でもある。

 ここを石の手前まで歩くと足をすくむ感じがして、歩幅がだんだん狭くなった。相模湾の眼下に広がり、右手には真鶴半島、さらに先には大島の島影がうっすらと眺められた。

 友だちは主だった展示物についてのメモ書きを持ってきてくれて、それを見ながら説明してくれる。ガイドブックにも説明が乗っているが、石のかたちが似ているとどれがどれだかわからなくなることも。展示された石や構造物にはいっさい説明書きが付いておらず、ガイドブックを手がかりにこれが何かを知ることができる。展示物のかたわらに説明書きがないのはいい方法だと思った。

 もう一つの大きな見どころは海抜100メートルに立つ100メートルのギャラリー。ギャラリーの中に入ると大谷石の壁に杉本博司氏の写真作品「海景」が展示されている。U2のレコードジャケットに採用された写真も展示されている。ギャラリーのいちばん最後は隠岐の島の海の写真で、これはぜひとも見たかった作品だ。

 隠岐の島に流され幽閉され、この地に果てた後鳥羽天皇が無念の思いで眺めたであろう海を杉本氏は写しとりたかった。後鳥羽天皇と杉本氏の思いがこめられた海を眺めた。

 坂を下ると竹林エリアがあるが、下りの途中で友だちが膝に問題を抱えているのを思い出した。自分の見たいところを歩いて見たが、友だちのことを考えるともっと控えめにした方がよかったのではないかと思われ、ちょっと熱が覚めた感じがした。

 そろそろ帰りのバスの時間が近づいてきたので、竹林のそばでひと休みし、ゆるやかな登りの道を選んで上に戻った。 

 4時ちょうどに江之浦測候所を出るバスに乗り、根府川駅に戻り、友だちは浜松へ、わたしは東京へ、帰路についた。

 

相模湾に突き出るやうな橋の上カップル楽しく語りあふ

 

宙を浮く橋の先には紐結びの石ひとつ置かれ先に行くなと

 

 

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根府川駅から見た相模湾

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室町時代の名月門

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石で作った能舞台、向こうは相模湾の海

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亀石

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海を背景にした光学ガラスの舞台、銅色の橋のようなものは冬至の朝日がさす方向を示す

 

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相模湾の眺め、右手に真鶴半島、さらに向こうの拓いている

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相模湾を小田原の方向に眺める

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山の斜面には蜜柑畑がある

 

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相模湾に突きだした橋(筒?)の上のカップル、この下は人が通れるトンネルとなっている

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宙に浮いている先の方