屋根の上に月が休んでいる家

 今日も秋晴れの気持ちのいい天気。こんな日に出かけないのはもったいない。

 どこかに行きたいという気持ちが強くなっていて、その気持ちに応えた。

 六本木ヒルズ内にある森美術館で開催中の「STARS展:現代美術のスターたちー日本から世界へ」を観に行った。

 草間彌生、リ・ウーファン,宮島達男、村上隆奈良美智杉本博司の6人の現代美術家の作品が展示されている。

 展示会場でいちばん最初の展示が村上隆さんの作品で「原爆を見に行こう」というタイトルの短い動画に強い印象を受けた。都会に住む若い男女が顔だけ着ぐるみを付けて、福島原発とその周辺の誰も住んでいない町を訪ねる。ナレーションが英語版と日本語版があり、軽快な音楽が全編に流れる。原発が遠くに見えるが彼らがいるところは海辺で、鳥が飛び、花も咲いている。さまざまな生活の残骸が残る町、住居や店舗はそのまま残っているが硝子戸から中を覗けば荒れ果てている。

 原爆で世界がほろびた後の世界に来たみたいと彼らは言う。ほんとうだ。人間がいなくなっても鳥や花、樹々の緑、澄んだ海の水はそのまま残りそうな気がする。

 もうひとつわたしの心にフィットしたのは、奈良美智さんの「月が休んでいる家」。原題は英文だが英語のタイトルを忘れたので、日本語訳で記した。

 屋根がとんがり気味の小さな家の屋根にまん丸の月が乗っかって休んでいる。家の中は窓ガラスや空いたドアから見ることができる。音楽が流れる室内には、可愛いもの、素敵なもの、こころがやすらぐものだけが置かれたり、壁に飾られていて、こんな部屋で一晩過ごしたいと思った。

 今夜はお月さまが屋根に休んでいる家を思い浮かべて、その家に今わたしがいると想像して眠りの世界に入りたい。

 杉本博司の作品『江の浦測候所』を映像化した作品も見応えがあった。ただ、歴史的な視点を強調する構成で、うす暗い会場内で鑑賞しているうちに眠くなり、最後まで見ることができなかった。あと数分と言うところで会場を出てしまった。今思うと眠気を我慢して見続ければよかった。この『江の浦測候所』は実際に見に行こうかと検討中だからだ。東海道線根府川駅から出迎えのバスに乗って行けるようだ。

 

 

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原発を見に行こうに登場する若いカップ

 

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前方に福島原発が見える

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富士山の絵は村上隆の2020年度の作品、この展示会のために制作したとのこと

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奈良美智さんの月が休む家

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家のなか

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可愛らしい窓がいくつかある

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杉本博司さんの映画のイントロ部分

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リー・ウーファンさんの作品

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草間彌生さんの作品