山崎方代の歌集『右左口』を読む

 昨日も今日も秋晴れのいい天気。

 昨日は二か月半ぶりくらいに自由が丘の美容院に行った。かなり空いていて、いつも指名する人にていねいにカットしてもらった。帰りは買い物を少しした後、バスで最寄り駅まで行き、歩いて家まで帰った。

 今日は長短の散歩と近所での買い物以外は家で過ごした。

 朝起きて、ややショックなことがあり、いろいろなことがからんで涙が出てきた。気持ちを切り替えようと外に出て、近くの街川まで行くと久しぶりにわたしが名づけた軽鴨ルパンがいた。

 少し離れたところに6~7羽の軽鴨の群れがいたので、ルパンもその仲間かと一瞬思ったが違った。ルパンはやはり群れず、番いにならず一羽でいる。

 街川の流れのなかに人工的に大きな石を配しているが、そのひとつにルパンが上がって立っている。少し下流にある橋の下あたりに群れの軽鴨がいる。よく見ると群れはルパンに遠慮しているようなのだ。遠慮して距離を保っている。

 ルパンは石の上に立ち、この川はわたし(僕?)のものといわんばかり。そんなルパンを見て、わたしはすごく元気をもらえた。泣いてはだめと自分に言い聞かせた。こんないい天気の朝日がきれいな朝。前向きに一日を始めようと思った。

 家に戻り、朝食を食べ、しばらくたって電話があった。話しているうちに心が落ち着き元気になれた。電話をくれた知人にありがとうと伝えたい。

 天気がいい日なので、気分転換に散歩を楽しみながら、家では図書館から借りてきた『現代短歌全集第十六巻』を読んだ。たくさんの敬愛する歌人の代表的な歌集が収録されているが、その中で山崎方代の『右左口』を読んだ。右左口はうばぐちと読む。山崎方代が生まれた村である。 

 この歌集は短歌をはじめたばかりの頃読んだ記憶がある。この歌人の歌集は他にも何冊か読んだ。

 

青梅がぽつんと土を打つ音に遠い歳月がある

 

行き先をもたざるわれも夕方になればせわしく先を急ぐ

 

降りやみし雪うすうすと受けとめし朴の葉っぱのそのやさしさよ

 

つゆ霜の粒おびただし夜をこめて泣きあかしたる涙なりけれ

 

                    山崎方代 『右左口』

 

  わたしの敬愛する歌人、岡部桂一郎氏がこの歌集の後書を書いている。

「うまい歌を作る人はこれからもたくさん出てくるだろうが、方代のような短歌作者はもうあらわれまい。これらの歌には現代への無言の問いかけがにおっている。〈中略)肯定するにせよ、否定するにせよ、現代短歌はその前を無視して通ることはできないのではないだろうか」

 

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朝の街川の軽鴨ルパン、ちょっと誇らしげな顔をしている

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広角の写真ではルパンはこんなふう

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群れの軽鴨たち、橋の下にあと3羽くらいいる

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朝の花壇、秋の光がきれい

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名前の通り、花季の長い百日草