久しぶりにうれしいこと

 うれしいことは日々あるのだが、久しぶりに、とあえて言ったのは

 短歌に関して嬉しいことが久しぶりだから。

 今年の8月末に明治神宮秋の総合歌会に送った短歌が佳作に選ばれたという知らせを受け取った。

 封書で送られてきた。中にはB4の紙に選歌の結果の佳作と、コロナウィルスの感染収束の見通しがたたないため、いつもなら行われる献詠披講式や短歌大会を中止とする旨が書かれている。

 昨年、令和元年の春の明治神宮総合歌会では入選歌に選ばれ、献詠披講式や短歌大会に出席したことを思い出した。同じ年の秋にわが家が水害に見舞われることもその時は予想もしなかったし、令和2年のコロナウィルス感染拡大ももちろん夢にも思わなかった。

 短歌は続けてきたが続けることで生きながらえてきた。

 佳作になった短歌は、淡路島からこちらに転居した知人から、淡路島の玉葱をもらったことを詠った。わたしが出かけていたので、玄関の扉の下に5つほどの玉葱を置いて行ってくれたことを詠った。すごくうれしくてお礼の電話をしようと思ったが、その知人の名前も連絡先も知らなかったことに気づいた。しばらくして、その知人が家を訪ねてくれたとき、お礼を伝え、名前と連絡先を聞くことができた。

 この知人を詠った短歌はもう1首、昨年の若山牧水の短歌大会で佳作に入賞した。まだ知り合って2年もたたない方なのに不思議な縁である。

 

わけもなく泣きたる朝の目にやさし秋雨に鈍く光る檸檬の葉

 

秋の雨冷たき庭に柘榴の花あかあかと咲く実りをあきらめ