朝方、父母のことを思い出しながら仏間の外にある廊下に立ち、雨戸を開けたら法師蝉の鳴く声が聞こえた。ツクツクボーシと鳴くのが普通だが、ちょっと変わった鳴き方で、でも鳴く調子は法師蝉だ。
法師蝉は他の油蝉やミンミン蝉などよりおそく鳴き始めることが多いと聞いていたので、おやっと思った。立秋はとうに過ぎたが、もう秋の気配が近づいているのかと思った。
猛暑日が続き暑い!暑い!と言っているうちに、秋は少しずつ近づいているのだろうか。
父母を思ひ出づれば法師蝉八月の庭にふいに鳴きだす
法師蝉わが物思ひにこたえるごと青柿落つる庭に鳴きだす
今日の東京は猛暑日に届かなかったようだ。とはいっても9時頃からエアコンをつけた居間でずっと過ごした。お昼前に近所の肉屋さんに買い物に行ったのがいまのところ唯一の外出だ。
江戸雪さんの歌集をほぼ読み終えた。昨年はこの歌集を読み終えることができなかったが今は読みたい気持ちが強くなっている。読む側の変化によって同じ本でも読み方が変わってくるようだ。いつ読んでも同じように感動する本というのもあって、それは昨年の水害で本を整理した時も残して、本棚に数少ない蔵書として並べられている。
何日か前、三十年近く前の愛読書を読み返してみたが〈ぜんぶは読まず、さわりだけ)、昔のわたしが感じたことがそのままよみがえってきた。その本に何を求めて読んでいたかを思い出し、昔のわたしに共感できたのである。
そろそろ散歩の時間、今日はいつもと違うコースをたどってみたい。最近は、時間のない時疲れを感じたときは、行きは歩き、帰りはバスということがときどきある。
臨機応変に散歩を楽しみたい。
わが願いのごとく咲いている光の色の百日草よ空をめざせ