長めの散歩をする

 朝はどんよりと曇り冷え込みが強かった。6時過ぎに雨戸を開けると外が暗くて驚いた。この時間は晴れた日だと東の空が明るんでいる。
 ときどき小雨がぱらつく寒い日曜、午前中は近所に買い物に行った。
 午後は雨が降っていない時間に散歩にでかけた。折りたたみ傘を持って。
 母の命日なので菩提寺に寄り、線香を手向け、花立の水を替えた。
 お寺を後にし、等々力不動に向かって歩いた。寒く雨が降りそうで散歩日和とは言えないが犬の散歩をしている人は何人か見かけた。
 等々力不動の境内も閑散としていた。この前、元旦に訪れた時のにぎわいのかけらもない。
 お参りはしないで本堂のある境内から渓谷のほうに階段を降りて行った。こちらも人の姿が少ない。人影のないところにキャスター付きのスーツケースがたてかけられドキッとしたが、目をこらすと祠でお参りをしているカップルが見えた。
 紅葉が終わり、色彩の少ない冬の渓谷は歩きながら、若い柴犬レオといっしょによく歩いたことを思い出した。あの時はさらに足を伸ばして散歩した。渓谷から急な長い階段を上ると広い公園があり、うさぎを飼っている小屋があり、そこがレオのお気に入りだった。レオがこどもの頃、一時、うさぎがいたことがあり、そのことがあり、レオはうさぎにとても愛着を持っていた。うさぎにしてみれば迷惑かもしれないが。

 しんみりとさせじと犬が庭に落つ父亡き後の初の豆撒き

 墓地に立つ白蓮のつぼみ小さきが春まだ遠き空を指さす

 曇天をゆく鳥一羽あの鳥はいつも独り大空をゆく

 年明けて安価となりたるシクラメンひと鉢を買い春まで楽しむ