スズメバチ騒ぎ

 思ったより気温が上がった日曜日。

 空には夏の雲秋の雲が交じりあう。

  気温が上がったといっても30℃には届かず、半袖で気持ちよく過ごせる。陽射しの強さもほどよく庭仕事にはちょうど良い気候だ。

 午前中、今年の1月に買った鉢植えのシクラメンを、ひとまわり大きな鉢に植え替えた。葉っぱの勢いがあまりよくないので、植え替えた後枯れてしまう可能性もある。

 次に高枝鋏を3本持ち出して、すももの木や梅の木の徒長した枝を切った。高枝鋏は切る枝の高さに応じて使いわけているが、いちばん使いやすいのが植木屋さんにもらったものだ。

 少し陽射しが強く感じたのでひと休みしようと家に戻りかけたとき、隣の家のご主人が若い男の人を伴ってわが家のほうに来た。

 話を聞くと隣家の2階の玄関口近く(隣家は二世代住宅)にスズメバチが数匹たむろしているので、業者さんを呼んでどこに巣があるのかさがしてもらっているとのこと。

スズメバチがわが家のほうに飛んで行ったので外にいるわたしに話しかけたようだ。

 はたと思い当たった。すれちがうときぶんぶん羽音がうるさい虫がいて、わたしは勝手にアブだと思っていたがあれがスズメバチか!ちょうどそのアブと思っていたものが花壇の青紫蘇の茂みにいるので指し示すと、スズメバチと返ってきた。

 がーん。あのうるさいうるさいと思っていたのはスズメバチだった。アブと思ったのはスズメバチと思いたくないからだった。夏の間いつもわたしを悩ませてきた、あの羽音。玄関から道路に出る庭道でよくすれちがった。一日4回、めだかにえさをやるときも近くにいることがよくあり、耳障り目障りだった。

 業者さんはわが家の庭もざっと見て回った。だがえさをとったスズメバチが庭から飛び去ったのを見て、巣はここにはないようだと言った。

 巣がないので業者さんも何もすることができず、隣家のご主人には蜂よけのスプレーをまくと一定の効果があると教えていた。玄関横に階段にはわせたつるばらの茂みがあり、そこにスズメバチがやって来るので、蜂よけスプレーが効果があるとのことだ。

 わが家は木が多く、庭のいろいろなところをスズメバチが飛んでいるので蜂よけスプレーは効果ないと業者さんが言った。

 隣家のご主人と業者さんが帰った後、ふと空を仰ぐと蜂が飛んでいくのが目に入った。近くの川を越え北東方向だ。

 ネットで調べるとスズメバチの行動範囲は1~2キロメートル、餌が少なくなると10キロメートルくらいにひろがることもあるように書いてある。真偽のほどはわからないがあの羽音からいってかなり距離を飛ぶことができるのは確か。

 わたしが住む区ではスズメバチの相談窓口があるので、(日曜祭日可とある)電話をすると応対してくれて、巣がみつかれば無料で除去するが、巣を探すことまではしないと言われた。

 とりあえず、二匹のスズメバチが午前中つきまとっていた青紫蘇の大株を引き抜いた。その青紫蘇にずっとスズメバチがいてなかなか去らなかったので、しばらく家に入れなかった。ちょうど玄関に行く小道の脇にあるから。

 青紫蘇の大株はいろいろな虫が訪れるのでなにかわたしにはわからない魅力があるのだろう。スズメバチは青紫蘇の花穂に止まっていたが、蜜を吸うのだろうか。それとも花粉が目的だろうか。それとも青紫蘇に訪れる虫たちが目的だろうか。

 すももの木の下にも青紫蘇の株が数本あるがそこにもスズメバチがいた。こちらはできれば残したいが、あまりにも来るようなら引き抜くしかないかも。

 スズメバチの羽音が耳に沁みついて離れないので、気持ちを切り替えるために午後は車に乗って図書館に行った。予約した本を受け取り家に帰ったがいまのところスズメバチの羽音は聞いていない。午前中はわが家に数匹、隣家にも数匹いたが。

 

スズメバチと知りし時からその羽音耳を離れずすれちがいざまの

 

庭道の横に咲きたる青紫蘇の花を好みてスズメバチ来る

 

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青紫蘇を抜いてすっきりとした花壇

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秋の庭らしくなった