奈良大和寺のみほとけと黒田清輝に会いに行く

 朝から晴れて陽射しが強くなったが、風がここちよく過ごしやすい。

 だいぶ前から行きたいと思っていた東京国立博物館で開催中の「奈良大和寺のみほとけ」展にでかけた。早めに帰りたかったので午前中に家をでた。

 JR上野駅公園口を出るとあいかわらず人が多い。何十回とこの公園口を降りているが雨の日も晴れの日も人が多いという印象が変わらない。なんか違うことを感じてみたいものだ。

 上野公園の広場ではテントが並び全国の旨いもの展のようなものを開催している。昼食はここでいいかなと思いつつ通り過ぎた。

 国立西洋博物館の本館一階の大きなひと部屋で展示会は開かれている。仏像の数はそんなに多くない。奈良大和寺とは岡寺、室生寺長谷寺安倍文殊院の四寺。奈良県の北東部にあるお寺で、いずれも7~8世紀に創建された古刹である。

 室生寺の十一面観音菩薩立像は漣波式の衣文がやわらかく優雅で、菩薩様のお顔の雰囲気とよくあっている。

 同じ室生寺の釈迦如来坐像の衣文は翻波式で掘られている。漣波式に比べて、鋭角的で力強く美しい。

 これらのみほとけにほんとうは奈良のお寺で会えればいちばんいいのだが、たぶん行くことはないだろうと思ったので東京国立博物館に来たのである。

 展示を見終わったのはお昼過ぎ。お腹がすいたので、さきほどの広場のイベント会場に行き、たこ焼きを買って公園の木陰のベンチで食べた。たこ焼きを作っている人の手つきが不器用で慣れていない感じ。味のほうもぜんぜんおいしくないがお腹がすいていたので食べた。

 もうひとつ訪ねたいところがあり、東京国立博物館の正門から左方向に歩き、最初の信号を渡った。角に上島珈琲店があり、その隣が行きたかった黒田清輝記念館である。

 記念館の建物はクラシックな雰囲気の古い洋館。二階が展示会場で黒田清輝のプロフィールを映像で紹介したり、記念館に収蔵された作品を映像で見れる部屋があり、奥が作品の展示室になっている。

 印象派を思わせる色づかいの野原を描いた絵など、明るい色調の絵が多い。いちばん観たかったのは雲を描いた5枚の連作で、さまざまなかたちの雲の表情をみごとに描きあらわしている。

 代表作の「湖畔」、「舞妓」、「読書」、「智・感・情」は期間限定で特別展示室で公開とのこと。いちばん早い公開日は2019年を10月29日(火曜)~11月10日(日)となっている。これを逃すと来年の新年早々となるが、無理をしないで行けたらいくようにしよう。