天気を勘違いして

朝は曇りで気温は低め。過ごしやすい一日のように思えた。

テレビや新聞の天気予報を見なかったのが良くなかった。週末は天気が崩れると天気予報で知っていたが今日の予報は抜けていた。

 来春のために蒔く草花の種と、来春のために植える球根を買いたいので、車でホームセンターにいくつもりだった。ついでに、少し早めだがお彼岸の墓参りの花を買ってこようと思った。出かける前に庭に出て、百日草や千日紅、ミニバラなどを切り、洗面器に水を張り、水切りにした。

 行きはぽつぽつとフロンガラスに雨が降ったが一時的な雨、すぐ止むと楽観的だった。

 ホームセンターでは墓参用の花やチューリップの球根、ストックの種子を買った。買いたかったネモフィラの種やスイセンの球根はなく、ヒヤシンスの球根は高くて買わなかった。ひとつ298円という高さ、いつもは5個パックで少し割安のものがあったが今年は置いてなかった。全体的に球根の種類や数が少なく昨年の三分の一ほどしかない。あまり売れないのだろうか。

 スイセンの球根は昨年は、10種類あまりあったが今年は1種類だけ。よくここで買った’タヒチ’という名のスイセンの球根はなかった。

 買い物を終えて地下の駐車場に降りるとさっきより暗く感じた。外に出ると空が暗くなって、本格的な雨が降っていた。アスファルトが濡れて光っている。

 家に帰ったらさっそく墓参に行こうと思っていたがこれでは無理。こちらの都合に天気は合わせてくれない。早めにお彼岸の墓参に行って、肩の荷をひとつおろしたかったのに。

 母が亡くなり11年あまり、父が亡くなり8年あまり。墓参の花もだんだん質素になり、せめて早めにお墓参りに行ければと考えた。花を買って墓参に行くのがわたしも年をとってきたのでだんだんおっくうになってきた。いろいろな思いがあって、今日お墓参りに行こうと思ったのである。

 車で家に着くと、雨が小雨になり、やがて止んだ。空が少し明るくなったので急いで買ってきた花と庭の花をあわせて花束にし、菩提寺に向かった。秋のお彼岸までまだ数日あるので、ほとんどのお墓には花が供えられていない。

 静かで寂しい墓地で父母のための花を手向けた。百日草のオレンジ色がくっきりと目に残る。

 最初に予定した通りに墓参ができてよかった。ことしは早いねなどと母がどこかで

言っているような気がした。

 

台風に身を裂かれれば川面へと腕垂らしをりそめいよしのは

 

台風15号の風は千葉県の広い範囲で大きな被害をもたらしたが、東京もかなりの強風が吹き荒れたようだ。近くの川沿いに植えた染井吉野大枝が裂かれてをり、川面へとだらんと枝を垂らしている。マンションの一角にある植込みでは、木槿の大木の幹が風に捩じられて斜めに傾いでいる。すごい力が加わったのが見て取れて、思わず捩じれたところに手を触れた。