昨日は明治神宮参集殿で春の明治神宮記念綜合短歌大会が開かれた。早朝は小雨が降ったがすぐ止んだ。10連休最後の休日は曇天でお昼頃から晴れ間がのぞき、だんだん青空がひろがった。
11時15分明治神宮参集殿に集合なので、10時45分頃、同伴してくれる歌友ふたりと原宿駅から近い大鳥居の前で落ち合った。
受付で入賞者を表すブルーの徽章をいただき、ジャケットの胸につけた。参集殿で早めの昼食のお弁当をいただき、12時過ぎに明治神宮本殿へ。
本殿に入る前に手を清め、さらに選者の先生4人と共に宮司さんのお祓いを受けた。
本殿のなかは吹き抜けになっていて、大きな広間のようなところに左右に分かれ、向かい合うかたちで200名余りが椅子に座って参列した。
奥に白木の神殿がある。
献詠歌奉尊奉告式の開始を告げる太鼓の音が鳴り響く。
全身をつき通す強く深く厳しさもある音に、心身にたまっていた滓のようなものが抜けて行くのを感じた。
神主が祝詞を唱和するときは参列者も立って耳を傾ける。
選者の代表が榊を神殿前に奉納するのだが、奉納した榊が風に飛ばされ、床に落ちた。新しい榊を宮司がすぐさし出し、代表の歌人がもう一度奉納した。
榊をふわっとすくい上げ、床に落とした風が偶然吹いたものではなく、何かの手のように感じた。
この儀式の全体に身が引き締まる思いがし、心身が洗い清められたように思った。
参集殿に戻り、短歌大会が始まった。
開会の辞の後、入賞歌発表、表彰と続く。
特選10首、入選20首が発表され、表彰式はリハーサルがあったので事前の打ち合わせ通り行われた。
壇上に上がったわたしは慣れていないので上がり気味となり、記念品を受け取り、壇上を降りる時、目の前に座っていらっしゃる選者の方に会釈するのを忘れた。
その後は歌人の島田修三氏にによる連続短歌講座で、テーマは近現代歌人の家族詠「窪田空穂ー人の親のかなしき心」。
窪田空穂についてほとんど何も知らないわたしだが、島田氏の講演を聞いて空穂の歌を読んでみたくなった。島田氏が冒頭に紹介なさった空穂の最晩年の短歌2首はとても味わい深いものだった。
ただ、マイクとご本人との距離が安定しないのか(近づいたり離れたり)、わたしの耳が遠くなったせいおあるのか、ときどきよく聞き取れないところがあった。
講演後は佳作170首は歌会の出席者のみ、入選・特選は全作品の選評がおこなわれた。選者の秋葉四朗さん、木村雅子さん、内藤明さん、松平盟子さんが分担して選評、特選10首は秋葉四朗さんがなさった。
ここで会はお開きとなり、選者の歌人および大会に出席された歌人を囲んでの懇親会が開かれた。月次歌会が開かれる社務所が会場で、丸いテーブル席にひとり歌人の方が座り、そのまわりに参加者やその同伴者が座った。
わたしたちのテーブルは歌人の佐伯裕子さんが座られ、さきほどの短歌講座についてや、馬場あき子とさんや岩田正さんの歌集についてなど、さまざまな話をした。
サプライズは入賞者代表4人のうちの1人として、短いスピーチを依頼されたこと。今回の歌会の感想や自己紹介を数分程度とのことで、自分でも驚いたが快く引き受けさせていただいた。
さらに自分でも驚くことに、短く、ポイントを押さえてスピーチ(もどき)ができた。6年弱のわたしの歌歴、春秋の大会に歌を送るようになり2年半あまり、入選を知ったときの気持ち、入選作について歌が生まれたときの状況を短く・・・・・・・・。
今振り返ると、短歌大会の感想とここに来られたことの感謝を述べるのを忘れていたようだ。やはり、少し上がっていたのだろう。
いただいた食事は美味しく、いただいた赤ワインはさらにおいしかったが味わうゆとりがややなかった。会話やスピーチのことが頭にあったからか。
いたずらな神の手のごと風が吹き奉納の榊ふわと浮かせる