今夜は中秋の名月

 朝は曇りでときおり雨がぽつぽつする天気。時間がすすむにつれて晴れ間が出るようになった。
 まだ空模様があやしい時間に弟に電話をしてお彼岸の墓参りは天気が悪いので無理して来なくてもいいと伝えた。彼岸が過ぎても晴れた日に来ればいいと。
 この電話の後に晴れ間が出てきたので皮肉といえば皮肉。
 不安定な晴れ間をあてにしてお昼過ぎ洗濯をして干したが乾かなかった。芽が出たばかりの矢車草やカワラナデシコは陽光があたるように移動させた。これからあまり晴れ間が期待できそうにないから、晴れたら最大限利用しなくては。
 夕方になり、近くのお寺に墓参りに行った。弟には無理して来なくてもいいと言ったのでせめてわたしだけでもと思った。父母はわたししか墓参に来ないのを寂しく思っているだろうか。
 昨夜の夢を思い出した。夢のなかでどこかに外出したわたしが日が暮れた頃、帰ってくる。何故か急いで庭の通路を走るように歩き、玄関の扉を見ると鍵穴に鍵がささったままになっている。誰か侵入していないか不安になる。玄関の戸を開け家に入り、居間の障子をあけると父と母が生前と同じところに座っている。わたしは大喜びで母に抱きつく。父の前を飛ぶように横ぎって。
 父母の墓前で夢を見たことを伝えた。
 空模様が不安定な一日だったが夜の7時過ぎにいつも月見をする部屋から満月が見えた。二本のすももの木の間に、まるでわたしと対面するように月が浮かんでいる。きれいに見えたのはほんの短い間。濃い紫色の雲が月面を隠してしまった。
夜8時過ぎ。雲を抜けた満月が中空に。まだ部屋からかろうじて眺められる。
 そしてまた消えた。