桃の木にとまるひよどりに心を寄せる

 午前中は曇りの天気。ときおりぽつぽつと雨粒が落ち、雨雲が空にあることを知る。 
 近くの特別支援学校内にあるカフェに行くがなんとなく調子が出ない。心身ともに疲れている感がある。
 こういうときはから元気を出すこともない。翼をたたんでひっそりとしていよう。
 草花の種を6種類蒔いたがそのうち芽を出したのは2つだけ。矢車草とカワラナデシコ。例年だと早めに発芽する花が今年は発芽していない。今日のうちに蒔き直しをしようと思ったがうかうかしているうちに雨が本格的に降り出した。
 電話をしたりメールの返事をしたりしているうちに外は雨。
 雨が降り出した頃、居間から眺められる桃の木に目白のつがいと独身(?)のひよどりが来た。目白はひよどりを敬遠してすぐ飛び去り、ひよどりは桃の木の枝にしばらくいた。首を動かしきょろきょろした後、静かに遠くを見る横顔になった。
 ひよどりも同じ今を生きているわたしと同じ生き物と思った。ひよどりにはひよどりの大変なことがるあるだろう。食べなければ生きていけないから。でもひよどりはそれを大変とは思わないような気がする。ただひたすら生きている。食べられるものを食べるしかないし。
 わたしは庭のひよどりを見ているがこのわたしを見ている何ものかがいるのかもしれないと思った。人は自分を中心に考え、見ることで理解しようとするがそんな人間を見ているものがいるのではないか。ひよどりもわたしも生きていつかこの世からいなくなることは同じ。


 時季が来て黄ばみはじむる銀杏の葉 時に従ふすがしさを見る

 桃の木にとまるひよどりを見るわれを見るなにものか思いをはせる

 桃の木にひよどりをりて遠く見るまなざしになる降り始める雨