車で二子玉川へ

 曇りで陽射しがないので気温は上がらないが午後から蒸し暑くなった。台風の影響だろうか。
 家にいて短歌を作ってもいい歌ができそうもなく気晴らしを兼ね午後は車で二子玉川に行った。
 老犬ももこがこの家にいた昨年の夏、ももこを置いて何回か二子玉川に行った記憶がある。何か必要なものがあって行ったのだろうが、ももこを家に置いたままでかけたことを後悔している。8月は特に余命何日という状態だった。ももこがこの世を旅立つ前日も、ももこの食事介助に必要なものをそろえるために車で二子玉川に行った。わたしはいったいなにを考えていたのだろう。もう、ももこはどんなに工夫しても食べられない状態になっていたのになんとか少しでも食べてもらおうと思っていた。鍼灸治療を行う獣医師に流動食を食べやすくする容器は100円ショップに売っているソース入れなどが代用できると教えてもらい、それを買いに行ったのだがももこにそれを使ったのは死ぬ前日の夕食と当日の朝食昼食だけだった。それもほとんで食べなかった。おいしそうなものをㇵンドミキサーで流動食にしても、口元に持って行っても食べなかった。
 こんなことを思い出しながら二子玉川を歩き、いくつかの店をのぞいて回った。おもしろい店があった。本屋と雑貨などを置く店、家具や電気製品の店がワンフロアにつながるように配置され、さらにスターバックスともうひとつ軽食を出す店が入っている。カフェの椅子やテーブルはどうも家具屋さんの製品のようでさまざまな椅子、テーブル、ソファが置いてある。飲み物を注文し、本屋の本をテーブルまで持って行って読んでいる人もいる。
 読みたい本が一冊あったので、コーヒーでも飲みながら、と思ったがどこにスターバックスのサービスカウンターがあるのかわからず、また座りたい席に人が座っていてあきらめた。読みたかった本は須賀敦子の「トリエステの坂道」である。前に読んだことがあるので家に多分あると思うので後でさがしてみよう。

夏の間続く花火のやうなり空にはじける百日紅の花

ささやかな譲り合いあれば運転のわれにぽっと灯がともりたり