朝はいつものように犬友だちとその愛犬と散歩した。その帰り、近くのお寺に寄って花立の水を替えた。その後はほとんど家にこもっていた。
外に出たのは買い物に一回行ったときだけ。
掘り炬燵に入って、若山牧水の歌集を読んだ。図書館から借りてきた古い本で昭和46年に発行された「牧水歌集」という本。若山牧水の全歌集15集から抜粋した歌で構成されている。
特にいいなと思った歌をいくつか抜き書きした。
「山に来てほのかに思ふたそがれの街にのこせしわが靴の音」
「放たれし悲哀のごとく野に走り林にはしる七月の風」
「遠くよりさやさや雨のあゆみ来て過ぎゆく夜半を寝ざめてありたり」
(上から3首は若山牧水の第二歌集「独り歌へる」より)
「わが孤独に根を置きぬればこの薔薇の褪する日永久にあらじと思ふ」
(若山牧水第六歌集「みなかみ」より)
わたしの歌を並べて記すのは気がひけるが・・・・
愛犬のおりし五月に枝を切る乙女椿のつぼみのふふむ
梅林のごと民家の庭白梅の奥に紅梅(こうめ)も咲き初めており
日向にまどろめる午後うつぶせに飛行機の音背で聞きつつ
陽だまりに横になってみる陽だまりに眠りし犬の気持ち知りたくて
刃物のやうな寂しさ三日月は宵の空にわれは地の上に
黒々と柿の冬枝の向かふに三日月が鋭くひかりおり
亡き犬と歩きたる道他の犬と歩けるを思へば涙せり
洗濯もの抱へて居間を横切るいつもそばに居た犬の横を