一日中、風が冷たかったが陽が昇ると陽射しはあたたかかった。
老犬ももこの散歩がきっかけで親しくなった友だちが朝の散歩の途中、わが家に立ち寄ってくれた。年内にももこのお線香をあげたいと言っていたのでこちらから声をかけて家にあがってもらった。
家のあちこちにももこのメモリアルスポットのように写真を置いている。ももこが食事をした場所やももこが最後の闘病生活を送ったベッドが置いてあったところだ。ももこのお骨はわたしといっしょに眠った部屋に置いてあるのでそこでお線香をあげてもらった。居間に移動してももこの写真がたくさん飾ってあるのも見てもらった。
その後いつものように一緒に短い散歩をした。
家に帰ってきてからはほとんど家の中で年賀状を書いて過ごした。夕方までかかっ出す予定の半分強を書くことができた。
年賀賞を書いたのはももこと柴犬レオの遺骨を置いた部屋で、庭に面した雪見障子がある。一息入れるために障子を開けてふと目を上げるとなんと紅梅が咲いているではないか。昨日はまだつぼみだった(と思う)。花が咲かないうちに伸びたつぼみの付いていない枝を剪定しようと思っていたところだった。先を越された感じだがうれしい驚きだ。
振り返ってみるとこの紅梅はいつもこの時期に咲いていた。父母がまだこの家にいた、20年以上も前のことだ。年賀状を書いている時この紅梅が咲いているのを目にして賀状にそのことを書いたことを思い出した。
濃い色の花は数えるほどしか咲いていないがぱっちりと目を見開いたように咲いているのが愛らしい。白梅とはまた違った風情があり、この庭の初春を彩る花である。
見上ぐれば紅梅の花ひらきおり予期せぬ出来事のごと驚く
ぽつぽつとためらいがちに紅梅が咲き始めたり風冷たきに
咲きそめて紅梅の花小さき光放てり冬の庭に
咲きそめし紅梅の花に夕闇がおりきたる確かな重さ持って
川底をのぞき見れば冬空の深さ底知れずひろがりたる
川面にちりめんじわひろがって映されし楓の樹ゆらげる
わが犬のことたずねられ死にしこと話すうちに悲しさ湧き来る
さっきまで生きていた犬がこの世からいなくなるおそろしさ深し
死というものから目をそらし日々暮すがとつぜん目の前にくるなり
昨日は今年最後の生け花教室でお正月の花を活けた
例年より花の彩りが寂しいように思った